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活動記録>平成26年度行政視察 8月5日(火)
■平成26年度 行政視察

災害に強いまちづくりについて

研修視察日 平成26年8月5日(火) 13:30〜15:30
視 察 先 福島県伊達市
受入担当者 市民生活部 消防防災課    塚原 宏   様
田中 清美 様
佐藤 邦男 様
健康福祉部 放射能対策担当 佐藤 芳明 様
菅野 康弘 様
参加者 草津市議会会派 草政会
 清水 正樹、竹村 勇、 西田 剛、 瀬川 裕海
 棚橋 幸男、奥村 次一、中嶋 昭雄、行岡 荘太郎
草津市議会会派 あおばな
 中島 一廣
● 伊達市の概要・沿革
≪概 要≫
 伊達市は福島県の北部に位置し、県都福島市の北東に隣接している。
 東に阿武隈川系の霊山、西には吾妻連峰、北方には宮城県境の山々が遠望できる福島盆地の中にある。
 市役所のある保原町は、海抜約50mの所に位置し、市の西部を阿武隈川が流れ、市の南部及び東部には、南北に標高500mから800mほどの阿武隈高地が連なる。
 市の中心部周辺は平坦地となっており砂質壌土で耕地に適している。
 伊達市の土地利用は、全体の面積265.1kuのうち、森林が101.782kuで38.4%を占め一番広く、次に農地の70.607kuとなっており、伊達市全体の65%を森林と農地で占めている。
人口  63,856人  世帯数 21,940世帯

≪沿 革≫
平成18年1月1日に伊達町、梁川町、保原町、霊山町、月舘町の5町が新設合併して「伊達市」が発足。
● 過去の自然災害状況について
≪昭和61年8.5災害≫
台風10号くずれの温帯低気圧が、8月4日から5日朝にかけて、福島気象台開設以来という豪雨で、阿武隈川・広瀬川沿いの梁川・五十沢地区を中心に旧梁川町全域に大きな被害をもたらした。
阿武隈川左岸の無堤地区、五十沢地区が冠水、午前8時には船場地区の阿武隈川右岸堤防が破損、続いて午前11時に町裏地区の広瀬川右岸堤防が決壊、380世帯が床上浸水するなど、昭和16年を上回る大災害となった。
 被害総額57億円

≪平成元年台風13号災害≫
伊達市に隣接する飯館村で358mm、宮城県丸森町筆甫で400mmという豪雨を記録し、伊達市の東部山間地域を中心に土砂災害が発生した。
 被害総額14.8億円

≪平成10年8月末豪雨≫
平成10年8月末に福島県内を襲った豪雨・台風は阿武隈川の氾濫をもたらし、流域に多大な被害をもたらした。
真船観測所では、降り始めからの雨量は1,267mmに達し、1時間あたりの雨量も90mmを記録した。
この豪雨は僅か6日間で年間総雨量の75%、8月の福島県白河地方の平均月雨量の6.3倍にも相当する観測史上類をみないものとなった。
被害総額 8.1億円

≪平成14年台風6号災害≫
平成14年7月10日から12日にかけて台風6号の影響により災害が発生した。
家屋被害 一部損壊1棟 床上浸水23棟 人的被害なし
被害総額3.7億円

 いずれの4件の災害も台風・低気圧の豪雨による水害被害であり、阿隈川や広瀬川・石田川等の流域に多大な被害をもたらした。
 現在では河川流域の堤防・橋等の被害も復興作業により修復されている。
● 平成23年3・11 東日本大震災について
   ▼▲地震発生 平成23年3月11日(金)午後2時46分▼▲
○伊達市災害状況
 三陸沖を震源とする国内観測史上最大規模、マグニチュード9.0の大地震(東北地方太平洋沖地震)が発生した。
 市では伊達地域、梁川地域の震度6弱を最高に、保原地域、霊山地域、月舘地域において震度5強の地震を観測し、災害対策基本法及び伊達市地域防災計画に基づき、災害対策本部を同日午後3時に設置されている。
 地震により保原小学校、梁川小学校が全壊し使用不能になるなど、公共施設、民間施設、住家に多くの被害が生じ、幸い人的被害はなかったものの住家の全半壊が264棟におよび、罹災証明発行件数も9522件(全世帯数の4割弱)にのぼった。
 また、鉄道(阿武隈急行)、電気、電話、上下水道等のライフラインも多くの被害を被ったが、懸命の復旧作業により、電気は14日、電話は16日、水道は21日までに復旧した。

○伊達市被害状況
死者・行方不明  (災害関連死)      1人
道路・公共施設被害      40億6208万円
負傷者(軽傷)               3人
消防団員出動延べ人数   2326人
家屋被害(半壊以上)          284棟
がれき量(推定)    2万4076d
全壊                  28棟
断水          最大10日間
大規模半壊              256棟
停電           最大3日間
市民の最大避難者数(3月12日)    993人
電話不通         最大5日間
市街からの最大避難者数(3月16日) 1,728人
ガソリン不足            約1カ月半
阿武隈急行不通            66日間

 被害総額  40億6千万円
  ・市内各地で屋根瓦の落下やブロック塀の倒壊の被害が出た。
  ・避難所であるべき、保原小学校・梁川小学校が使用不能になる。
  ・総合公園では、地震による液状化で噴出した泥水被害がでた。
  ・道路・水道管・下水道の被害が市内各地で発生した。

○災害対策状況
平成23年3月11日 (金) 15:00 災害対策本部を設置
「伊達ふれあいセンター」に避難所の開設
順次、市内13か所に指定避難所を開設
 避難状況を受け、市民の避難施設として「伊達ふれあいセンター」に避難所を開設される。以後、順次、市内13か所に指定避難所を開設し、職員及び保健師を派遣。
3月12日午後から、原発状況の悪化に伴い、相双地域住民への相次ぐ避難指示が出されたのを受けて、原発関係避難者は希望者全員を受け入れることとし、新たに二か所の避難所を開設。
今回の震災は伊達市になって大掛かりな体制で避難所を開設するものとなり、市民受入れとして13か所、相双地区の避難者受け入れとして8か所の避難所を市内各地に開設した。
原発関係避難者の受け入れにあたっては、被ばく検査が必要とされたため、検査機器の整備とともに、対応職員には、簡易防護服(タイべックス)の着用を義務付けした。

3月12日 市民避難ピーク993人がまず避難される。
       全体避難者1074人
3月16日 原発避難ピーク  1728人避難されてきた。
       全体避難者1762人

○市民生活への影響
  • 震災の発生に伴い、飲料水・食料品・燃料を求めて並ぶ長蛇の列が出来る。大震災によって東北・関東の石油関連施設が被災して、東日本では深刻なガソリンの供給不足に陥った。
  • 大量の「災害ゴミ」・がれき処理に追われ、仮設の震災ガレキ置場(ブロック・屋根瓦・家電等)を設けられている。
  • 震災発生から一夜明けた平成23年3月12日午前6時現在で、約700人の市民が各地の避難所へ避難していた。この日から避難者への食事の提供、給食業務が始まった。
  • 伊達学校給食センターで1000食分の給食対応を行った。その後、学校給食納入業者にもパンやごはんの調理を依頼され、2000食の炊き出しを行っている。
  • 双葉郡大熊町にある双葉病院入院患者の受け入れを県から依頼され、一時避難として搬送された。
 準備体制も不十分で、避難所という空間で生命の危険と隣り合わせの懸命な救護活動がなされたようである。残念ながら、救出患者等のうち21人が3月17日までに避難先等で死亡されている。

○復興状況について
  • 震災発生直後から、市では道路、橋梁の被害状況を確認するため市内全域でパトロール調査を実施されている。この結果、路面陥没、クラック、路肩崩落等により、市道7路線、橋梁10橋、合わせて17カ所を通行止めとされた。その後、23年3月24日までに応急復旧を実施し、その後、7橋と市道2路線を通行可能とした。まず通常交通の確保が急務とされている。
  • 震災により、管路やマンホール等の施設には大きな損害が生じるなどの事態となった。液状化により、マンホールや路面の陥没箇所が多数確認された。閉塞箇所の対応やバキュームカーでの汲み取り等で、汚水の越水が防がれた。災害復旧工事は、24年10月までの1年半を要したが、本来の機能を回復することができ、支障なく利用されている。
  • 福島第一原子力発電所で相次いだ爆発事故による放射性物質の拡散を受けて、伊達市でも福島県による放射線量測定が開始され、政府は、「今回の放射性物質の拡散は、直ちに健康被害がでるものではない」とし、国民に冷静な対応をよびかけたが、市民からは「県外に避難したい」「まだ避難しなくて良いのか」といった声が出始め、大変だったようである。
  • 特に、子どもを持つ親の放射能に対する不安や恐れは、日を追うごとに増していた。国の明確な指針もないまま、市は、子ども達の健康と安全・安心な環境を確保するため、5月に放射能対策事業として、学校施設等の表土の除去、除染用具の購入、空調設備の整備、放射線量計の購入経費等について、専決処分により、約10億円の予算措置を行い、独自の対策を実施された。
○市民の取組みについて
 地震発生1週間後の平成23年3月17日、伊達市社会福祉協議会本書に「伊達市災害ボランティアセンター」を設置して、市社協5支所一丸となりボランティアの募集と派遣業務を行われた。
3月中は、中学、高校、大学の学生や、仕事が自宅待機となった20〜30代の会社員、さらには、理容師や整体師、看護師の資格を持つ人がボランティアセンターの登録を行われたようである。1211人が登録を行い、延べ1580人が各種活動にあたっておられる。
 民生委員とともに要援護者の安否確認を行いながら事業所の早期再開に努め、破損した家財の整理(がれきの片付け等)や「炊き出し」への対応に重点を置かれたようである。
 7月からは、学識経験者・JAEAのOBと共に市民も除染専門ボランティアに100人が登録され活動されている。

○放射能対策について
3月15日夜半からの雪とともに放射性物質が降下。
放射性物質は地表付近にあり、そこから放射線が放出。

⇒どこに多くの放射性物質があるのかを測定・確認することが重要である。

○除染について
除染とは・・・放射能に汚染されたものを集め、封じ込め、再度散らばらないように管理すること。
除染の目的・・居住者の被ばく量をさげること。
伊達市の除染目標・・・年間追加被ばく線量5mSv未満。
出来るだけ線量低減化を図り、長期的には、1mSvを目指す。
エリアごとの除染
Aエリア
  特定避難勧奨地点を含む比較的線量の高い地域(5地域:2555戸)
  ・大手ゼネコン4社に発注
  ・作業期間:H24.05.18〜H25.08.28
  ・対象:宅地及び林縁部、市道
  ・内容:モニタリング、計画書作成、除染作業
  ・仮置場:50箇所
  ・除染進捗状況:100%(3009戸)
Bエリア
  Aエリアに隣接する年間積算線量5mSv以上の地域(13地域:3700戸)
  ・市内業者で構成するJVへ発注
  ・対象:宅地、市道
  ・内容:事前モニタリング、除染計画作成
  ・除染作業期間:H24.10.26〜H26.03.28
  ・仮置場:32箇所
  ・除染進捗状況:100%(4201戸)
Cエリア
  A・Bエリア以外の年間積算線量5mSv未満の地域(15,217世帯)
  ・対象:宅地、市道
  ・1次モニタリング…市民協働で実施
  ・2次モニタリング…地表面3mSv/h以上除去
    専門業者がモニタリングしながらホットスポット(HS)除染
  ・作業期間 : H25/05/26〜H26/03/28
  ・仮置場 : 5箇所
  ・除染進捗状況 : 66.3%(10,100戸)

○仮置き場での遮蔽(しゃへい)の必要性
  • 放射線の防護には、距離・時間・遮蔽による防護があり、遮蔽だけが安全対策ではなく、距離も有効とされている。
  • 廃棄物は密閉度の高い容器に収納されており、遮蔽に使用したコンクリートブロックや土のうは汚染しないが、再利用することに抵抗感がある。このままでは、廃棄物だけが増加してしまう。
  • 仮置き場の設置される状況に応じた安全対策が必要である。
○外部被ばく検査事業
外部被ばく線量は、各個人の行動や職業による生活行動が反映される。そのためガラスバッジを正しく着用していただき、正しい実効線量を市民に知っていただくことを目的として実施されている。
平成23年8月より幼児・小学生・中学生・妊婦と検査が進められ、平成24年7月には全市民対象に検査の実施をされている。

【外部被ばく これまでの取り組み】
時期(測定期間) 対象者 配布数
平成23年8月 @0歳〜15歳A妊婦 8,614人
平成23年9月〜11月 @0歳〜15歳A妊婦
B特定避難勧奨地点の指定を受けた地区
10,010人
平成23年12月〜
       翌年2月
@0歳〜15歳A妊婦
B特定避難勧奨地点の指定を受けた地区

11,177人
9,893人
平成24年4月〜6月
平成24年7月〜 @全市民対象 64,869人
平成25年7月〜 @0歳〜5歳A妊婦BA・Bエリア全員
CCエリアの無作為抽出D希望者
26,827人
【歳出】 (23年度)46,953千円(24年度)257,444千円(25年度)354,973千円
今後の取組みとして、ガラスバッジによる外部被ばく線量測定と高値者フォローがあげられている。

○内部被ばく検査事業
内部被ばく線量は食生活(経口摂取)による影響が大きいとかんがえられるため、ホールボディカウンタ(WBC)による内部被ばく検査を実施し、食生活による健康不安解消及び安心確保を目的として実施をされている。

【内部被ばく これまでの取組み】
時期 検査場所と検査対象 実施主体
平成23年10月 南相馬市立総合病院で小学校の検査開始 福島県
平成23年11月 南相馬市立総合病院で中学校の検査開始
福島県労働保険センターで妊産婦、乳幼児保護者、高校生の検査開始
福島県
伊達市
平成24年1月 車載式WBCで中学生の検査開始 福島県
ひらた中央病院で小学生の検査開始 伊達市
平成24年2月 車載式WBCで小中学生の検査開始 福島県
平成24年3月 車載式WBCで高校生の検査開始
平成24年4月 車載式WBCで4〜6歳児の検査開始
平成24年5月 福島県労働保健センターで19歳以上の検査開始 伊達市
平成24年8月 中野病院と梁川病院にホールボディカウンタを設置
中野病院と梁川病院で19歳以上の検査開始
平成25年3月 4歳以上の全市民への受検案内
平成26年4月 1歳以上の全市民への受検案内

○検査結果から
 これまでの検査結果からは、健康に影響が心配されるレベルの数値の方はおられなかった。9割以上が「検出されず」という結果から、全市民の役半数の方々の内部被ばくによる健康不安の解消または軽減に寄与することができたようである。

● 視察を終えて(考察と課題)
≪まとめ≫
 東日本大震災の復興を機に伊達市との交流が始まり、平成25年1月には災害応援協定を締結しました。
 今回、福島県伊達市に行政視察として草津市議会会派草政会・あおばなメンバー9名が訪問しました。
 東日本大震災という未曾有の災害による伊達市の大きな被害状況や復興の現状を聞かせていただき、草津市行政が市民の安全安心を鑑み、どのように機能することが出来るのか、改めて考えたところであります。
 草津市は伊達市と同じく50km圏内に、福井県高浜原発が存在しています。今まで以上に、放射能・放射線の正しい知識の普及啓発を推進し、健康づくりについての市民の知識向上を図り、心身ともに健康な生活をおくることができる体制づくりが必要であり、更なる危機管理システムの見直しと整備が必要と強く感じるところです。
 伊達市では、東日本大震災・原発事故から3年5ケ月が経過しておりますが、震災時の課題が検証されています。
 東日本大震災では、大規模かつ広域的な災害であったために、市の対応が隅々まで届かず遅れた結果となっています。ある程度の自主的な判断の必要性と地域住民の「自主防災組織」の整備・強化が今後に向けて大きな課題と言われており、自主防災組織の更なる高揚を目指し、総合防災訓練を実施されています。
 草津市においても、一層の多くの市民の参加のもと、広域的に実施していく必要があると考えます。
 また、地域住民の避難・救出・救助が被害を最小限に食い止める効果があると考えられているが、避難所の課題としては、各学区により避難所の運営に差があり、被災者のニーズの変化への対応や健康管理、避難所生活の改善が十分でなかったところも報告いただきました。
 草津市においても、各学区で「避難所運営マニュアル」を作成していただき、「自らの地域は自らで守る」ことが大切であり、日頃からの地域の交流を深め、意識を高めることが防災につながるものと考えます。

≪今後の課題≫
  @地域防災計画の見直し及び原子力災害編の見直し
  A原子力災害時の「広域避難計画」の作成
  B「災害支援、応援計画」の作成
  C災害対応各種マニュアルの作成及び見直し
    「避難勧告・判断・伝達マニュアル」
    「災害対策本部設置マニュアル」
    「災害対策マニュアル」
    「避難所運営マニュアル」
  D同報系防災行政無線設備の整備の拡充
  E備蓄倉庫、備蓄品の整備の拡充
  F飲料水兼用防火水槽の整備の拡充
  G他市との総合応援協定の拡大

   以上8項目の見直しと整備の拡充を推進していくことが、大切と考えます。

報告者  行岡 荘太郎
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